今回のテーマは、
股関節の前側の痛み、鼠径部の痛み、ボールを蹴った時に痛い、痛くて蹴れないなど
サッカー選手に多い鼡径部痛症候群について最近の症例をもとに解説していきます。
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サッカー選手。
2週間くらい前からボールを蹴ると股関節に痛みが走り、ボールを蹴ることができないと来院。
年齢:高校生3年生
競技:サッカー
主訴:ボールを蹴ると右股関節に痛みが走って、ボールを蹴ることができない
症状部位:右股関節の外側(中殿筋)と前側(鼠径部および内転筋)
右股関節開排制限(+)
股関節過屈曲で股関節前につまり感(+)
体幹前屈、後屈での痛み(-)
(細かくは割愛します)
骨盤アライメント:右寛骨後傾・右恥骨結合下方変位
経過
初回:まずは骨盤アライメントを整える(両大殿筋・右骨盤外側・右鼠径部をリリース)。整えたのち開排制限残存しているので縫工筋と長内転筋の筋間をリリース後
左右差なし、つまり感消失となり、 初日はこれにて終了とし経過をみてもらうこととしました。
2度目:股関節外側の症状は低下、鼠径部の症状は変わらず。長内転筋中心にリリース。
3度目:この日は私が施術。骨盤アライメント戻る。ボールを蹴るときの鼠径部の症状は平行線。骨盤アライメントを整え縫工筋、長内転筋、そこからさらに深いところに指を進めていきました。
「ここ!」
という痛みのピンポイントに到達。
そこをリリースしました。
開排は施術側の方の可動域が向上し、左右差があっては問題なのでこの日は左右差を整えて終了としました。
4度目:「ボールを蹴っても痛くなくなりました!」とのこと
「ピンポイントの圧痛部位を探し当てることが重要」です。
今回の症例から推測できることをまとめてみました。
ポイントは内転筋群の作用です。
それでは内転筋群の詳細からお伝えしていきますね。
内転の主動作筋は
大内転筋、短内転筋、長内転筋、恥骨筋、薄筋です。
(今回は薄筋は割愛して話を進めていきます。)
クリニカルマッサージより転載
内転筋群は股関節屈伸トルクの有用な源です。
大内転筋の後方線維はハムストリングスと同様に股関節の強力な伸筋です。
しかし一般に残りの股関節内転筋は股関節肢位次第で屈筋または伸筋となり、
上にも書いてある通り、長内転筋は股関節屈曲60度以下では屈曲に作用します。
他、短内転筋や恥骨筋も同様に屈曲に働きます。
今回の症例ではボールを蹴るインパクトの瞬間に強い痛みを発しました。
ボールを蹴る時は股関節は60度以下です。
なので内転筋でも伸展に働く大内転筋と、屈曲に働く長内転筋、短内転筋、恥骨筋は内転でも矢状面では逆の働きとなります。
―蹴るインパクトの瞬間に起こる相反する動き―
中間層の短内転筋と深層の大内転筋の癒着があり、蹴るインパクトの瞬間にその癒着が原因で相反する動きが続いたために痛みとなって出現したのではないかと考えました。
もちろん表層の長内転筋、恥骨筋と短内転筋の癒着もあったかもしれません(きっとあっただろうとも考えています)。個々の癒着については2度目の施術で解消していたため、今回より深層の癒着を改善したことで症状が軽快したと考えています。
ここまで改善すれば後は選手の頑張り次第で維持していくことができます。内転筋群を伸展層と屈曲層で可動域を大きくとってダイナミックにストレッチしていくことで、癒着してくっついてしまった組織を剥がした状態で維持していくことにつながります。
「施術の前後で体の変化が体感できる」
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