整復
整復方法としては、
コッヘル法、ヒポクラテス法、ゼロポジション法、スティムソン法などが
用いられることが多いです。
脱臼して関節に痛みがある状態では、肩の関節周囲の筋肉が
痛みに対しての防御反応で過緊張状態にあるため
どのように上腕骨頭を変位させていくかがポイントです。
ヒポクラテス法はてこの原理を用いた整復方法で
以下の写真のように行っていきます。
踵を腋窩に当てながら上肢を外転外旋位で牽引し、
内転させながら内旋をに加えていくと、
てこの原理で元の関節の位置に上腕骨頭が戻っていきます。
しかし、過緊張している筋に対し、てこの原理で上腕骨頭を変位させるため
関節がハマる瞬間に瞬間的な痛みを伴うことが多いです。
ゼロポジション法は牽引しながら上肢をゼロポジションまで持っていく整復法です。
途中で筋緊張が緩んでくることにより整復されます。
大抵の場合はゼロポジションに到達する前に整復がされます。
※ゼロポジションとは肩甲棘と上腕骨が一直線になるポジションです。
外転120度付近がゼロポジションです。
スティムソン法も同じように筋を弛緩させることがポイント整復法です。
スティムソン法は術者が牽引することはなく、
下に垂らした上肢に重りを付け重力を利用して整復します。
この時のポイントとしては、重りを患者に持たせないことです。
重りを持たせてしまうと前腕の筋収縮が起こり
上肢に緊張が伝わるため整復が行われにくくなります。
また、重りも重すぎると関節がハマりにくくなるため
適度な重さの重り(2.5kg~5kg程)であることが重要です。
整復動作が終了し関節がハマると、抵抗感がなくなります。
ここでも強い痛みが残存する場合は、関節窩下骨折(関節の受け皿の骨折)や
大結節骨折(上腕骨の出っ張り部分の骨折)などの可能性もあります。
また整復動作によって神経、血管の損傷が起こっていないかを
整復前と同様に確認する必要があります。
神経の損傷は赤い〇の腋窩神経、青い〇の筋皮神経の知覚領域を健側と比べます。
血管の損傷は母指球の近位にある橈骨動脈で確認しましょう。
固定
固定は関節周囲の損傷された組織の修復の治癒環境を整えるためにも3週間行います。
上腕骨頭の前方移動を防ぐため、厚紙副子やすだれ副子を肩関節の前方に入れ
包帯で上腕を内旋位で固定し、三角巾で腕を吊るします。
しかし、最近では内旋位ではなく外旋位での固定もあります。
肩前方の筋や靭帯が緩んだ状態で固定される内旋位固定に対し
外旋位固定では筋や靭帯が緊張するため壁となり
関節の位置がズレにくい状態で固定ができます。
後療法
後療法は固定をしている間から開始していきます。
最初の1週間は損傷部位の組織の回復に努めます。
1週目以降は関節の拘縮が起こらないように、肘や手指は積極的に自動運動を行います。
2週目からは三角巾に吊るされた状態のまま、コッドマン体操(振り子運動)を行います。
画像では三角巾はしていませんが、
コッドマン体操は上肢の重みを利用し牽引を加えながら動かします。
肩関節の拘縮を防ぐためにも重要です。
3週目以降は固定を外し、肩の自動運動を開始します。
しかし、再脱臼を防ぐためにも外転、外旋運動は制限をする必要があります。
固定が除去されたからすぐにスポーツの現場に復帰すると反復性脱臼を
招きかねないため、現場の復帰に時期には見極めが重要です。
いかがでしたでしょうか?
骨折や脱臼は痛みがなくなったからと言って安心できません。
受傷してしまった場合は、医療機関へ受診しましょう。
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