『帰るよっ!』と親が子供の手を引く場面。
近所のスーパーなどでもたまに見かける光景かと思います。
私も幼少期はそうでした。
しかし、この時に手を引く行為には『肘内障』のリスクがあります。
病態
肘内障は幼少児に比較的高い頻度で発生するケガとなります。
肘を引っ張った際に多く発生することから
『Pulled elbow syndrome』とも言われます。
肘内障は、肘を強く引っ張られた際に橈骨頭が輪状靭帯をくぐり、
外れかけている状態になります。
画像は肘の関節です。
左下の骨が橈骨で、関節付近の膨らんだ部分が橈骨頭になります。
この橈骨頭は赤で書いた輪状靭帯に覆われていて、
前腕の回旋動作の際に輪状靭帯の中で橈骨頭が回旋します。
幼少児は成人のようにしっかりと骨形成がされていないため
橈骨頭が軟骨組織となっています。
そのため輪状靭帯を橈骨頭がくぐり抜けやすく肘内障が発生します。
上の画像が肘内障が起こった際の肘関節です。
多くの場合は全体がくぐり抜けるのではなく、黄色の〇のように
一部分が逸脱してしまいます。
症状
症状としては
・腕をぶら下げたまま動かさない
・肘の外側に痛み
・腫脹や発赤が見られない
などがあります。
『腕を動かさない』については、上肢を動かさないのは疼痛回避のためです。
動かすことによって痛みが出てきてしまうので、ほとんど腕を動かしません。
同じく症状として腕を動かさないのは『鎖骨の骨折』です。
転倒した場合などによく起こるケガですが、
幼少児の場合はケガの原因がはっきりとしないことが多いので
しっかりと鑑別していく必要があります。
『腫脹や発赤が見られない』のはどこかの組織を
出血があるほど損傷したわけではなく、少し逸脱してしまっている状態だからです。
ここで腫脹や発赤が認められる場合は
橈骨頭の骨端線の離開(軟骨が損傷)の疑いもあるので注意が必要です。
整復
整復は母指で橈骨頭を把持し、前腕を回内、もしくは回外させながら
橈骨頭を圧迫することでクリック音と共に整復が終了します。
整復終了後は動かさなかった腕を動かせるようになります。
後療法
後療法としては固定をしなければいけないということはありません。
しかし、同じことを繰り返さないように腕を引っ張らないように
親に説明や指導をしていく必要があります。
いかがでしたでしょうか?
子供のケガのリスクを考え、優しく手を引いてあげてください。
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