皆さんは肉離れとはどのようなものかご存知でしょうか?
多くの方は名前は聞いたことがあると思います。
以前にも肉離れについて記事を書いたのですが、
今回は肉離れの病態や治癒過程などを更に詳細にお話していきます。
まずは肉離れの病態を説明していきます。
簡単に言うと皆さんが頭に思う状態と一緒で、筋肉が切れてしまった状態になります。
しかし筋肉は細い筋線維が束になり、それを筋膜が覆って形成される組織(血管や神経については割愛)のため、どの程度切れてしまっているのかで分類が変わってきます。
Ⅰ度:筋線維の微細な損傷
Ⅰ度損傷は筋膜の損傷は見られることはなく、膜内での筋線維が微細に損傷しているレベルです。
筋違いと言われるものから、微細なものでは筋肉痛もⅠ度損傷に含まれます。
関節運動に障害を出すことはありませんが、違和感や痛みを感じます。
Ⅱ度:筋肉の部分断裂
筋膜を含む筋肉の部分的な断裂です
損傷した部位には体表からも陥凹(凹み)を触知できることも多く、皮下出血も出てきます。
部分的に筋肉が繋がっているので筋収縮による関節運動などは行えますが、かなりの痛みを伴います。
一般的な肉離れとしては一番多いのがⅡ度損傷です。
Ⅲ度:筋肉の完全断裂
Ⅲ度損傷は筋肉(筋膜も含む)の完全断裂です。
部分的に筋肉が繋がっていることもないので、筋収縮は不能です。
関節運動については他にも同じ動きを引き出す筋肉が存在すれば行うことも可能ですが、痛みが強いことも含めて満足な関節運動は難しいです。
筋肉が完全に切れてしまっているので、Ⅱ度と同様に陥凹を触知します。
以上のようになります。
下の図では左からⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度となります。
特にⅡ度、Ⅲ度で起こる皮下出血に関してはどんどん末梢に広がっていき広い範囲で皮下出血が出ることがります。
出血量が多いと周りの筋肉や血管を圧迫し、筋肉の壊死やクラッシュシンドロームが起こる可能性があります。
※クラッシュシンドローム
血管が圧迫された際に、圧迫部位に身体には毒となる物質(カリウムや筋に含まれるミオグロビンなど)が溜まり、圧迫が解放された時に一気に体内に回り、臓器などを損傷する症状です。
次に好発部位についてです。
肉離れは下肢の筋肉に非常に多く発生し、特に筋腱移行部(筋肉から腱に変わる境目)が切れやすくなっています。
筋肉と腱では構成される組織が違うため、その境目は他の部位と比べ脆弱になってしまいます。
下肢の中でもハムストリングス(もも裏)、大腿四頭筋(もも前)、内転筋(内もも)、下腿三頭筋(ふくらはぎ)の4か所が肉離れの大半を占めており、どんなスポーツ活動をしているかによって切れやすい部分は変わってきます。
特に走る場合や跳躍動作ではハムストリングスや下腿三頭筋を使うため、この2か所の肉離れは多いです。
運動会シーズンにお父さんが起こしてしまう肉離れはこの2つの筋肉のどちらかということがほとんどです。
他にもサッカーで脚を後方に振り上げた際に大腿四頭筋を損傷する場合や、スケートなどで踏ん張る際に内転筋を損傷する場合など、競技特性も関係してきます。
次に原因です。
肉離れは関節運動により筋肉が引き延ばされながらも筋収縮が起こっている場合(遠心性収縮)に発生することが多いです。
特に筋肉が硬くなり弾力性が失われている場合は受傷の確率が高くなります。
ストレッチの不足だけでなく、筋肉の癒着による弾力性の低下も原因としては多いでしょう。
次に治癒の過程です。
肉離れによって切れてしまった筋線維は、まず壊死を起こします。しかし、筋線維は多数の核を持っているため、壊死するのは一部です。
その後切れた断面に溜まった血(血腫)の中の白血球が炎症反応を起こし、壊死した筋線維を排除していきます。
その後、筋肉の中にある衛星細胞が筋芽細胞に分化していき、切れた筋線維同士を少しずつつなげていき筋肉は修復していきます。
少し難しい話になってしまいましたが、ここからは後療を含めお話ししていきます。
まず、受傷後1週間です。
この時期は受傷による痛みもかなり顕著に出てくる時期になります。
また、肉芽細胞が筋線維感を繋ぎだすのが1週ほどなので、この時期の処置がその後の治癒の期間にも繋がってきます。
まず行うこととしては圧迫固定です。
圧迫と言っても血を止めてしまうほどキツく巻いてしまうと、筋肉の壊死を起こしてしまう可能性があるため、少し圧迫感がある程度です。
圧迫固定にする理由は2つあります。
1つ目は断裂端を近づけるためです。
断裂端が離れた状態だと、筋芽細胞が断裂端同士を繋げていくのに、時間がかかってしまいます。
その為、圧迫固定を行い、断裂端が離れすぎないようにしていく必要があります。
2つ目は痛みを抑えるためです。
痛みを抑えると言っても、しっかりと受傷しているため通常通り動かせるわけではありません。
しかし、日常生活において受傷筋を全く使わないのはかなり難しいです。
特に受傷が下肢なら尚更です。
その為、損傷筋を圧迫固定で安定させてあげることで痛みを抑えることができます。
当院では、綿包帯での固定後、その上から弾性包帯を巻いていきます。
また、熱感が落ち着いてきたら超音波にて組織の回復を図る施術も開始していきます。
受傷後1週後からは筋芽細胞により、断裂端の連結が多く始まってくるため、痛みのレベルもかなり落ち着いてきます。
患部の状態にもよりますが、固定を弾性包帯のみにしていきます。
受傷後2週目以降は圧痛や日常生活の痛みの具合を聞きながら、ストレッチを交えていきます。
ストレッチをしていく理由としては、修復された組織と元々の筋線維との張力に差があるからです。
ストレッチを行わないと張力の差がある部分(受傷部位の両端)が切れやすくなってしまい、再度受傷を招く危険性があります。
肉離れが癖になってしまっている人はこの段階でのストレッチをおろそかにしてしまった可能性があります。
運動痛や圧痛が残っている場合は積極的な活動は控え、安静にしておくのが好ましいです。
また、受傷後の炎症反応により受傷部位周辺に組織の癒着が起こってくるため、剥がしていく必要もあります。
基本的には肉離れの治癒期間は3週間と言われていますが、ストレッチや癒着を剥がす施術など含めると、完治までには1ヶ月ほど掛かります。
受傷後の処置次第ではさらに伸びてしまう可能性もあります。
受傷してしまった場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めいたします。
いかがでしたでしょうか?
もう少し簡潔にまとめる予定でしたが、重要なことが多く長くなってしまいました。
肉離れにお困りの方は是非、一度ご相談ください。
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